なにわ海の時空館では思わないけど。

最近、インターフェイス北梅田地下道のリニューアル提案を
考えているのが楽しい、キムラです。

夏からずっとコミュニティデザインのことを考えていて
思い出した映画について書いてみます。
また映画です(笑)。現代美術で映像学をかじってたので、好きなんです、映画。


『Tombés du ciel』(1993)邦題は『パリ空港の人々』。
監督のPhillipe Lioretはこの映画が日本でそこそこヒットした割に知名度の低い人。
ハリウッドでもこの作品がリメイクされたんですけど、全くの別物なので…
ってどうでも良い情報ですね。

映画の舞台が、98%L’aéroport de Paris-Charles-de-Gaulle、
つまりシャルル・ドゴール空港です。
長いからCDG。
Paul Andreuです。

ですが、大半が空港のマニアックな裏側ばかりなので
「楽しめる」のは、あの洞窟みたいな動く歩道のある通路と、移動回廊くらいですが
これの面白いところは、そういう建物ではなく
空港という建築物の意味とでも言うのでしょうか。
人間が作った見えない「国境」は、空港の中にも存在していて
その境界線の上で暮らすような人々が出てくるわけです。


「建物」って言うのは、その箱なんですけど。
ただの箱。
でも「建築」ってずいぶん違うものだと思うんです。
人の生活を変える。その「人」というのも結構な大勢です。
それくらい力があるんだと、この映画を観ながらとふと思う。


このお話は、誰もが一度や二度は経験していると思われる
空港での忌々しい出来事の中でも最悪な事が起こるんですが
監督自身の実体験を元にしているそうで。
この映画を再び観ると、そのヒューマン・ドラマを
抜きにして観ることが出来たので、そういう見方をすると
空港ですれ違う、文化や言語や人々の感情を
CDGは飲み込んでいる。
うまく飲み込んでいる。
廊下や壁面はずっと奥までのびているんですけど
緩やかな曲線で消えて行くからかも知れません。
ほとんど宇宙船だと言えば早いんですけど、美しい無機質さで出来ている。
その空港に飲み込まれた人々の時間は止まっていて、
外に出た途端に動き出す。
この映画は、この空港の為に作られたんじゃないかとさえ感じるんですね。
タイトルの意味は「空の墓場」っていうのも似合う。
本来は、空港というものを皮肉っているのでしょうけども。


これの何がコミュニティデザインかというのは
映画の趣旨が、「人と人との繋がり」だからです。
コミュニティデザインが空港っていう話ではないです(笑
空港、でもあるんでしょうけども。


最後に、この映画のいいシーンで
パリの町並みを机に再現するんですが、
パリってほんと、百年後も同じ町並みなんじゃないかと思います。
そう期待されているんだろうな。Parc du Champ-de-Mars(シャン・ド・マルス公園)の
空撮写真なんかを観ると実感しますねー。
大阪とは良くも悪くも、えらく違う…。


本当はもう一本、入れようと思ったのですけど
長文になってしまったので、やめときます。