住宅建築が興味深いのは何故か。

こんばんは、wikipediaのle Corbusierの写真には悪意を感じているキムラです。
(映像で見る限り、あんな変な顔じゃないと思うのですが。)


住宅と言えば。


劇的ビフォーアフターを冷静に見ていると
ちょっとありえない匠の技ってのもありますよね。
スライドする機能なんかはやたら多様されているイメージがあります。
そりゃあ唸らせられる技術も多々あるんですが…。
住宅って本当に人間の生活の基本ですから
建築の中では楽しくも難しい気がします。
だからこそ映画でもこんなに建築ネタがあるんだと思うのです。
ドラマティックなんでしょうねー。


ということで(?)
ムーディなBGMに騙されないで、住宅を建てる様を観られる映画を二本。
どちらも、家が建つってことなので、最終目標というか
ラストシーンは分かりきった予定調和です。
その他の要素も映画としては、ほんとたいしたことないんですけど、
デザインを勉強していたら映画の見方が変わって面白いです。


一本目は、三谷幸喜監督作『みんなのいえ』。
実際に新築の家を建てる過程をシュミレーションしたような映画。
映画としては、ほんとうになんか痒いところに手が届いていないのが歯がゆくて
公開当時は、まとまりの無い変な映画だなぁと思ったもんです。
でも今観てみたら多分、私たちデザイン系の学生の為に作ったのかしら?というような部分が多い(笑)。
聚楽壁とか、天井と壁との境がカーブしているところ、
竹割りのタイル、20畳の和室。
あと、アンティーク家具の組み立て。
トイレが3つも4つも、だとか、小便小僧だとか。
庭に池を作ることの不毛さだとか。
映画の中で、家を建てる為のいろんな人の感情がたくさん出てくるので
そこを探して考えを巡らせるのが、この映画の楽しめるポイントだと思います。


例えば課題で。
妄想で住宅プランを立てたとして、それってどうなの?これって家にあっていいの?
って振り返る事がいかに重要かと実感する。
映画の中でも出てくるし、観てると絶対考えてしまう。
いい映画だなぁ、と思います。学生なら。


わかって観てるとなんか面白い例として

照明を選んでいるシーン。(どうみたって画像はネットから借用)
ハニカム構造とおぼしきランプシェード、良いと思うんですけど
モダニズム教なのに唐沢寿明はご立腹するという。



二本目『Life as a House』はIrwin Winklerの2001年作品。

これを映画館で観た時は、あまりの人間関係の生臭さと、アメリカ人的「家族」の断絶に
辟易したのですが
今は、変な映画だと冷静に感じます。
変なユーモアだけど、笑えます。

Life as a House.
人生は、家を建てるようなものだ
(家だ、じゃないとおもいます)

と直訳したら変な題名ですが
台詞的なだけで、言い得ている感じはしないです。
上っ面なキャッチーさというか。
ちょっとうまく説明できませんので内容についてに話をすすめます。


住宅を考える上で重要な、「家族」の部分を描いているという意味では
みんなのいえ』より映画らしいものです。
まあ小難しいことを書くのも面倒なので、みどころをいくつか。



建築家の主人公は、おっさんとして最低な気もしますが、
PC使えないのに給料高いから解雇されてしまいます。
で、最後に何個か自分の作品の模型を貰ってもいいか?と聞いたら
「一個だけしか駄目だ」と言われ、ぶち切れて会社にある模型を片っ端から
破壊する主人公。


で、唯一持って帰ろうとした模型もこのあと自分で潰してしまうという。
あー模型ってなんて美しくて儚くて楽しいんでしょ!
映画だから、かなり丁寧につくられているであろう模型を破壊するなんて
こんなカタルシスなかなか無いでしょうね。


それからすったもんだ有った後、主人公は自ら4ヶ月で家を建てようとする。
で、ついでに不良になってしまった息子をなんとかする。
そういう映画。

古い家を解体するのも、基礎を作るのも自分でやってしまってましたが
できるものなのかしら?
そんなんで最後にどんな家が出来るのかと思ってたら、
ラストシーンの家は本当に素晴らしかった!
いや、もし日本で日本海側にこんなの建てたらえらいことでしょうけど。
気候もきっと踏まえているはず…。
(でないとビフォーアフター的匠(オモシロ建築家のパターン)になってしまう)


私はスペース系*の人間じゃないので
実際、家としての住み心地はあまり想像できないのですが
今でも映画を見た当時、最後に完成した家のデザインにとても驚いたことは
はっきり覚えています。

東福寺 霊雲院かFarnsworth Houseか!(って良いように言い過ぎですか?)
生臭い家族が最終的に作った家がこんな様式かよ、って驚いたんです。

でも、最後に
ああ、まさに「海辺の家」(邦題)だなぁと思ってしまう映画です。
土地の場所ってほんと、重要だなぁ。


*スペース系=空間系。某講師の名セリフ。